JIN―仁― 第7話
JIN―仁―の第7話を見ました。

江戸に戻った仁は、長崎でけんか別れになってしまった龍馬のことが心配でならない。
そこに幕府が謀反人として追う龍馬の動向を探るよう命じられた恭太郎が仁を訪ねてくる。
「世は不穏になってきております。せめてこの世情が落ち着くまで付き合いを控えていただけないでしょうか?ここには咲もおりますし」
「兄上、何かあったのでございますか?」
「…何かということのほどではないが、残念ながら坂本殿は今や幕府からは敵と見做されておる故…」
――この年の終わる頃、一橋慶喜が将軍となったことが江戸の町にも聞こえてきた。流石の俺でも知っている、徳川幕府最後の将軍だ。いよいよ徳川の時代が終わっていくのだ――。そんな中、俺はあらためて龍馬暗殺について思い出そうとしていた。龍馬さんの暗殺は確か大政奉還の後、明治になるまでの間だったような…。でも、それがいつだったか正確には思い出せなかった。夢に出てきたあの思い出…未来はあの時、何を受けてそう言ったのか…。歴史を変えたいと思うと必ず襲われるこの頭痛…どういうからくりかは分からないが、やはりあの男は俺で、この頭痛のもとはあの腫瘍で。俺に嵌められた孫悟空の輪でもあるんじゃないだろうか。漠然といつか現代に戻されると思っていたけど、俺はこの頭痛に殺されることを覚悟しなければいけないのかもしれない。龍馬さんの暗殺を止めようとするならば、歴史を変えようとするならば。何かないのだろうか、歴史の修正力を欺けるような方法は
そんな中、仁に手紙が2通届く。
1通は龍馬からで、読んだ仁は龍馬に自分の気持ちが伝わらなかったと考え、落胆する。
もう1通は野風とルロンの婚礼の知らせで、仁は咲と横浜に向かう。
その婚礼前夜、野風は診察を頼みたい人がいると仁を別室に導き、フランスに旅立つ前に仁に自分の身体を診てもらう。
「患者はあちきでありんす。左側の脇の下にいくつかしこりを感じいす」
そこで仁は野風が以前患った乳癌の再発を発見するのだが、野風はお腹の中の子どもに転移するかどうか心配していた。
「子どもに癌が転移することはありませんが…」
「では、では…あちきはいつまで生きていられんしょう?」
「転移性乳癌の生存率は2年で5割と言われております」
「2年…」
「勿論、もっと長く生きられる方もいますし、それは一概には…」
「そんなに…っ…2年も…。それならこの子を…っ…抱けんすな…。笑い顔を見ることも…っ…声を聞くことも…できんすな…。手を繋ぎ…っ…歩くことも…ぅ…できるやもしれません…」
すでに手遅れの状態で為す術ない仁だったが、これから何十年も生きていけるお腹の子どもに野風は夢を託していた。
「あちきはこの先、そう長くは生きられんせんけんど、この子は何十年も生きていけんしょう。この子が子をもてば、それこそ百年二百年、後の世までもあちきの血は流れ続けるでありんしょう。その営みの中であちきは永久に生き続け、その子の血となり肉となり目となり、見ることができんしょう」
「未来を、ですか?」
野風の病気と妊娠のことを咲に話した仁は咲から分娩をしないで安全に子どもを取り出す方法はないのかと聞かれる。
「未来には子宮を切って取り出す帝王切開という方法もありますが、この時代の麻酔を使用してそれを行いますと胎児は生きていられなくなってしまうんです」
「ではせめて、仁友堂で出産していただいてはどうでしょう?」
「私には産科の経験はほとんどありませんし、通常分娩しかない以上、いい産婆さんのもとで出産するのが一番体に負担の少ない方法だと思うんです」
「恐れていらっしゃるのですか?この出産を通して野風さんとその子どもに歴史の修正力なるものが働くことを」
「もし、野風さんの子どもを目の前で死なせてしまったりしたら…」
野風の結婚式に参加しながら仁は夢を叶えてやりたいと思うのだった。
「野風さんの夢は叶うのではないでしょうか?未来の人間である先生が歴史を変えることに対して、歴史は修正を加えようとするのかもしれません。けれど、もしこれは野風さんが、この時代の人間が強い意思を持って未来を変えたいと願ったことだとしたら、それはもはや修正されるべき歴史ではなく、ただの歴史なのではないでしょうか?」
「何を、言ってるんですか?」
「野風さんはおそらく、ご存じなんです。先生が未来から来たということも、先生の想い人が自分の子孫であるかもしれないということも。だから、命を懸けても生みたいんです。もちろん、お慕いするルロンさんのお子であるということもありましょう。けれど、それだけではなく、後の世で先生の出会うべきお方を野風さんはもう一度作って差し上げようとしておられるのではないでしょうか?かような夢を握り潰すほど天は無慈悲ではないと私は信じとうございます。写真が亡くなってしまったのは未来さんが新しく生まれ変わるという天の声だと」
「咲さん…」
野風の投げたブーケを受け取った咲は仁に野風の子どもを取り上げたいと頼むのだった。




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江戸に戻った仁は、長崎でけんか別れになってしまった龍馬のことが心配でならない。
そこに幕府が謀反人として追う龍馬の動向を探るよう命じられた恭太郎が仁を訪ねてくる。
「世は不穏になってきております。せめてこの世情が落ち着くまで付き合いを控えていただけないでしょうか?ここには咲もおりますし」
「兄上、何かあったのでございますか?」
「…何かということのほどではないが、残念ながら坂本殿は今や幕府からは敵と見做されておる故…」
――この年の終わる頃、一橋慶喜が将軍となったことが江戸の町にも聞こえてきた。流石の俺でも知っている、徳川幕府最後の将軍だ。いよいよ徳川の時代が終わっていくのだ――。そんな中、俺はあらためて龍馬暗殺について思い出そうとしていた。龍馬さんの暗殺は確か大政奉還の後、明治になるまでの間だったような…。でも、それがいつだったか正確には思い出せなかった。夢に出てきたあの思い出…未来はあの時、何を受けてそう言ったのか…。歴史を変えたいと思うと必ず襲われるこの頭痛…どういうからくりかは分からないが、やはりあの男は俺で、この頭痛のもとはあの腫瘍で。俺に嵌められた孫悟空の輪でもあるんじゃないだろうか。漠然といつか現代に戻されると思っていたけど、俺はこの頭痛に殺されることを覚悟しなければいけないのかもしれない。龍馬さんの暗殺を止めようとするならば、歴史を変えようとするならば。何かないのだろうか、歴史の修正力を欺けるような方法は
そんな中、仁に手紙が2通届く。
1通は龍馬からで、読んだ仁は龍馬に自分の気持ちが伝わらなかったと考え、落胆する。
もう1通は野風とルロンの婚礼の知らせで、仁は咲と横浜に向かう。
その婚礼前夜、野風は診察を頼みたい人がいると仁を別室に導き、フランスに旅立つ前に仁に自分の身体を診てもらう。
「患者はあちきでありんす。左側の脇の下にいくつかしこりを感じいす」
そこで仁は野風が以前患った乳癌の再発を発見するのだが、野風はお腹の中の子どもに転移するかどうか心配していた。
「子どもに癌が転移することはありませんが…」
「では、では…あちきはいつまで生きていられんしょう?」
「転移性乳癌の生存率は2年で5割と言われております」
「2年…」
「勿論、もっと長く生きられる方もいますし、それは一概には…」
「そんなに…っ…2年も…。それならこの子を…っ…抱けんすな…。笑い顔を見ることも…っ…声を聞くことも…できんすな…。手を繋ぎ…っ…歩くことも…ぅ…できるやもしれません…」
すでに手遅れの状態で為す術ない仁だったが、これから何十年も生きていけるお腹の子どもに野風は夢を託していた。
「あちきはこの先、そう長くは生きられんせんけんど、この子は何十年も生きていけんしょう。この子が子をもてば、それこそ百年二百年、後の世までもあちきの血は流れ続けるでありんしょう。その営みの中であちきは永久に生き続け、その子の血となり肉となり目となり、見ることができんしょう」
「未来を、ですか?」
野風の病気と妊娠のことを咲に話した仁は咲から分娩をしないで安全に子どもを取り出す方法はないのかと聞かれる。
「未来には子宮を切って取り出す帝王切開という方法もありますが、この時代の麻酔を使用してそれを行いますと胎児は生きていられなくなってしまうんです」
「ではせめて、仁友堂で出産していただいてはどうでしょう?」
「私には産科の経験はほとんどありませんし、通常分娩しかない以上、いい産婆さんのもとで出産するのが一番体に負担の少ない方法だと思うんです」
「恐れていらっしゃるのですか?この出産を通して野風さんとその子どもに歴史の修正力なるものが働くことを」
「もし、野風さんの子どもを目の前で死なせてしまったりしたら…」
野風の結婚式に参加しながら仁は夢を叶えてやりたいと思うのだった。
「野風さんの夢は叶うのではないでしょうか?未来の人間である先生が歴史を変えることに対して、歴史は修正を加えようとするのかもしれません。けれど、もしこれは野風さんが、この時代の人間が強い意思を持って未来を変えたいと願ったことだとしたら、それはもはや修正されるべき歴史ではなく、ただの歴史なのではないでしょうか?」
「何を、言ってるんですか?」
「野風さんはおそらく、ご存じなんです。先生が未来から来たということも、先生の想い人が自分の子孫であるかもしれないということも。だから、命を懸けても生みたいんです。もちろん、お慕いするルロンさんのお子であるということもありましょう。けれど、それだけではなく、後の世で先生の出会うべきお方を野風さんはもう一度作って差し上げようとしておられるのではないでしょうか?かような夢を握り潰すほど天は無慈悲ではないと私は信じとうございます。写真が亡くなってしまったのは未来さんが新しく生まれ変わるという天の声だと」
「咲さん…」
野風の投げたブーケを受け取った咲は仁に野風の子どもを取り上げたいと頼むのだった。




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