JIN―仁― 最終話
JIN―仁―の最終話を見ました。

「手は一つだけございます」
「元の世へお戻りになられることでありんすか?」
「勿論、願うことしかできぬ手ではございますが、それよりほかは…」
「いずれにせよ、お二人には時がないということでありんすな…。先生には気持はお伝えに?」
「先生は今、私共に持てるだけの医療技術を伝えようとしておられます。それだけで私にはもう十分でございます」
「咲様…」
西郷隆盛を中心とする新政府軍が江戸へ入ったため、対する徳川家に仕えていた旧政府軍は彰義隊を名乗って上野に集まり、反旗を翻す機会を伺っていた。
そんな時局の中、恭太郎は勝からフランスへの留学を推薦されるも、龍馬の暗殺のきっかけを作ってしまったこと、そして今後旗本としての自らの進むべき道を悩んでいた。
一方、体調が悪化するばかりの仁は松本良順から江戸が総攻撃にあった際の医学所への指図を頼まれる。
「あの、私、そういう時一番間違っちゃいそうな気がするんですけど」
「では、その間違った道を御指図下さい」
仁は自らに残された時間を意識し、持っている医学の知識を残さず『仁友堂』の医師達に引き継ごうとしていた。
「当分、脳の構造と働き、更には脳腫瘍の集中講義をします。その最後の仕上げとして私が死んだら実物を見てほしいんです。知り合いの体を切るというのはいい気がしないと思いますけど…」
「ちょっと待ってください、そんなに私ら…」
「仁友堂にはお金がありません。ペニシリンをお金に変えることもできなかったし、みなさんに医者としての地位を約束することもできません。私が皆さんに残せるのは知識だけです。だったら、できるだけのものを残したいんです。この脳も、腫瘍も役に立てたいっていうか、役に立ててほしいというか。私の死後、みなさんの手でできるだけ意味のあるものにしてほしいんです、私がそうしてほしんです」
「…はい」
そしてついに明日、新政府軍が彰義隊を名乗る旧政府軍に攻撃を仕掛けると聞いた恭太郎は最後まで徳川の家臣として忠節を尽くすため上野に行く決意を下す。
「行ってはなりませぬ、咲!!恭太郎は悩みぬいた末、この道を選んだのです。お前にも分かるでしょ?徳川様と共にという気持ちは」
「兄上は生きねばなりませぬ!!尊い御方を死に追いやったというならこそ、傷つこうと泥に塗れようと、這い蹲って生きねばなりません!!」
「行かないでおくれ、咲…っ…」
栄から恭太郎の決意を聞いた咲は恭太郎と共に帰ってきたら、門を潜らせてほしいと告げるのだった。
「栄さん…」
「恥をさらそうが…生きることこそって…っ…これからはそのような世が来るのでしょうか…っ?私共が信じてきた道は間違いだたのでしょうか?」
「そうは思いませんけど、恭太郎さんは一つだけ大間違いをしてると思います。恭太郎さんの誇るべきことは…」
恭太郎を捜しに上野へと向かった咲は恭太郎の目の前で流れ弾に当たってしまう。
「兄上、咲は甘えてばかりでございました。己のことにばかり囚われ、兄上のお気持ちを思いやることもせず、これからは御恩返しがしとうございます。ですから、どうかお戻りいただけませぬか?」
「私には生きる値打ちなど…」
「死ぬんやったら南方先生に断わってからやろ!!助けてもらった命ですけど、捨ててええですかって!!ちゃいますか!?」
恭太郎は咲を背負い、仁が設置した野戦の治療所に運ばれ、佐分利に銃弾の摘出をしてもらう。
手が動かない仁は口を動かせばいいという龍馬の言葉を耳にし、適切な指示を出していく。
そして、恭太郎は命がけで守ってきたのは徳川ではなく、橘の家じゃないのかと仁に言われ、徳川のために死ぬのはやめることにするのだった。
――命知らずの男達は拾った命を再び捨てに行った。俺達は捨てに行くための命を永遠と拾い続けた。冷静に見れば、この治療は意味のないものだったのかもしれない。きっとそれはみんな分かっていた。だけど、誰一人としてやめようとは言い出さなかった。それが俺達医者の誇りだったから。そして、戦はたった一日で終わり、官軍による残党狩りが始まった
仁の脳腫瘍による噴出性嘔吐に苦しむ姿に何もできない佐分利は一番助けたい人を助けられない野暮だと自分を責めるが、仁に励まされる。
咲はペニシリンの効かない緑膿菌に感染して倒れてしまい、自然回復を望めるために体力を戻して免疫力を高める努力をすることになる。
しかし、咲の容体は好転せず、敗血症ショックを起こして死に至りかねない状況になっていき、恭太郎と栄に見舞いに来てほしいと伝えられる。
「あの子にお伝え下さいませ。約束通り、己の足で戻ってきなさいと」
「母上、咲の病はひとえに私のせいでございます。何卒一緒に見舞っては…」
「私が参れば、咲は己が死ぬやもしれぬと悟りましょう。それは先の気力を奪うやもしれぬではありませんか…っ…。南方先生にお伝え下さいませ、咲をよろしくと」
目を覚ました咲を抱きしめた仁はかけがえのないものがなくなってしまうなら一緒になくなるのが一番幸せだと彰義隊は考えたのではないかと話す。
「医者がそのようなことを言ってどうするのですか?」
「…はい」
「どうするのでございますか」
仁はタイムスリップした際に白衣に薬を入れていたことを思い出し、恭太郎は栄と共に橘家のありとあらゆる場所を捜し、仁は龍馬の声に導かれながら錦糸町へと向かう。
途中で残党狩りに会うも恭太郎に守られながら錦糸堀に辿り着いた仁は現代へとタイムスリップする。
病院に運ばれ、腫瘍を摘出された仁は咲のために薬を盗むのだが、現代の仁がタイムスリップしてしまう。
一方、仁は自分が自分に手術されたという事実や未来も消えており、仁の戻ってきた世界はかつての世界とは少し違っていた。
――これは俺が歴史を変えた結果なのか。それとも俺が関わった日々はすべて修正されているんだろうか、この数日間のように
仁はこれまでのことを小説として野口に話し、野口にアイデアをもらうとする。
――ずっと避けていたけれど、もう限界だった。ちゃんと確かめよう。咲さんがどうなったのか、俺が生きてきたあの日々がどうなったのか
ペニシリンは1928年にフレミングによって発見されたが、日本では土着的に生産されており、仁友堂のことが本にきちんと記載されていた。
――だけど、いくら調べてもそこにないものは二つあった。俺と名前と橘咲という名前だった
江戸時代に橘家のあった場所には橘醫院があり、そこで仁は未来そっくりの女性・橘未来と出会うのだった。
「あの、こちらのご先祖に橘咲さんという方がいらっしゃったと思うんですけど…」
「いましたけど」
「少しお話を聞かせてもらえませんか?時間は取らせませんからお願いします」
そこで咲が明治維新の後に実家を改造して橘醫院を開き、小児科や産科が主だという話や写真を見せてもらうのだった。
そして、咲が野風が亡くなった後、娘の安寿を養女として引き取っていたことも分かる。
「咲はずっと一人だったようですよ」
「そう、ですか…」
――言葉が見つからなかった。咲さんと野風さんが起こしてくれたこの奇跡に。俺は…何の言葉も見つけられなかった」
仁は未来から咲が残した手紙を渡され、手紙を読むのだった。
――この思いを忘れまいと思った。けれど、俺の記憶もまた全て時の狭間に消えていくのかもしれない。歴史の修正力によって。それでも俺はもう忘れることはないだろう、この日の美しさを。当たり前のこの世界は誰もが戦い、もがき苦しみ、命を落とし、勝ち取ってきた無数の奇跡で編み上げられていることを俺は忘れないだろう。そして、更なる光を与えよう。今度は俺が未来のためにこの手で




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「手は一つだけございます」
「元の世へお戻りになられることでありんすか?」
「勿論、願うことしかできぬ手ではございますが、それよりほかは…」
「いずれにせよ、お二人には時がないということでありんすな…。先生には気持はお伝えに?」
「先生は今、私共に持てるだけの医療技術を伝えようとしておられます。それだけで私にはもう十分でございます」
「咲様…」
西郷隆盛を中心とする新政府軍が江戸へ入ったため、対する徳川家に仕えていた旧政府軍は彰義隊を名乗って上野に集まり、反旗を翻す機会を伺っていた。
そんな時局の中、恭太郎は勝からフランスへの留学を推薦されるも、龍馬の暗殺のきっかけを作ってしまったこと、そして今後旗本としての自らの進むべき道を悩んでいた。
一方、体調が悪化するばかりの仁は松本良順から江戸が総攻撃にあった際の医学所への指図を頼まれる。
「あの、私、そういう時一番間違っちゃいそうな気がするんですけど」
「では、その間違った道を御指図下さい」
仁は自らに残された時間を意識し、持っている医学の知識を残さず『仁友堂』の医師達に引き継ごうとしていた。
「当分、脳の構造と働き、更には脳腫瘍の集中講義をします。その最後の仕上げとして私が死んだら実物を見てほしいんです。知り合いの体を切るというのはいい気がしないと思いますけど…」
「ちょっと待ってください、そんなに私ら…」
「仁友堂にはお金がありません。ペニシリンをお金に変えることもできなかったし、みなさんに医者としての地位を約束することもできません。私が皆さんに残せるのは知識だけです。だったら、できるだけのものを残したいんです。この脳も、腫瘍も役に立てたいっていうか、役に立ててほしいというか。私の死後、みなさんの手でできるだけ意味のあるものにしてほしいんです、私がそうしてほしんです」
「…はい」
そしてついに明日、新政府軍が彰義隊を名乗る旧政府軍に攻撃を仕掛けると聞いた恭太郎は最後まで徳川の家臣として忠節を尽くすため上野に行く決意を下す。
「行ってはなりませぬ、咲!!恭太郎は悩みぬいた末、この道を選んだのです。お前にも分かるでしょ?徳川様と共にという気持ちは」
「兄上は生きねばなりませぬ!!尊い御方を死に追いやったというならこそ、傷つこうと泥に塗れようと、這い蹲って生きねばなりません!!」
「行かないでおくれ、咲…っ…」
栄から恭太郎の決意を聞いた咲は恭太郎と共に帰ってきたら、門を潜らせてほしいと告げるのだった。
「栄さん…」
「恥をさらそうが…生きることこそって…っ…これからはそのような世が来るのでしょうか…っ?私共が信じてきた道は間違いだたのでしょうか?」
「そうは思いませんけど、恭太郎さんは一つだけ大間違いをしてると思います。恭太郎さんの誇るべきことは…」
恭太郎を捜しに上野へと向かった咲は恭太郎の目の前で流れ弾に当たってしまう。
「兄上、咲は甘えてばかりでございました。己のことにばかり囚われ、兄上のお気持ちを思いやることもせず、これからは御恩返しがしとうございます。ですから、どうかお戻りいただけませぬか?」
「私には生きる値打ちなど…」
「死ぬんやったら南方先生に断わってからやろ!!助けてもらった命ですけど、捨ててええですかって!!ちゃいますか!?」
恭太郎は咲を背負い、仁が設置した野戦の治療所に運ばれ、佐分利に銃弾の摘出をしてもらう。
手が動かない仁は口を動かせばいいという龍馬の言葉を耳にし、適切な指示を出していく。
そして、恭太郎は命がけで守ってきたのは徳川ではなく、橘の家じゃないのかと仁に言われ、徳川のために死ぬのはやめることにするのだった。
――命知らずの男達は拾った命を再び捨てに行った。俺達は捨てに行くための命を永遠と拾い続けた。冷静に見れば、この治療は意味のないものだったのかもしれない。きっとそれはみんな分かっていた。だけど、誰一人としてやめようとは言い出さなかった。それが俺達医者の誇りだったから。そして、戦はたった一日で終わり、官軍による残党狩りが始まった
仁の脳腫瘍による噴出性嘔吐に苦しむ姿に何もできない佐分利は一番助けたい人を助けられない野暮だと自分を責めるが、仁に励まされる。
咲はペニシリンの効かない緑膿菌に感染して倒れてしまい、自然回復を望めるために体力を戻して免疫力を高める努力をすることになる。
しかし、咲の容体は好転せず、敗血症ショックを起こして死に至りかねない状況になっていき、恭太郎と栄に見舞いに来てほしいと伝えられる。
「あの子にお伝え下さいませ。約束通り、己の足で戻ってきなさいと」
「母上、咲の病はひとえに私のせいでございます。何卒一緒に見舞っては…」
「私が参れば、咲は己が死ぬやもしれぬと悟りましょう。それは先の気力を奪うやもしれぬではありませんか…っ…。南方先生にお伝え下さいませ、咲をよろしくと」
目を覚ました咲を抱きしめた仁はかけがえのないものがなくなってしまうなら一緒になくなるのが一番幸せだと彰義隊は考えたのではないかと話す。
「医者がそのようなことを言ってどうするのですか?」
「…はい」
「どうするのでございますか」
仁はタイムスリップした際に白衣に薬を入れていたことを思い出し、恭太郎は栄と共に橘家のありとあらゆる場所を捜し、仁は龍馬の声に導かれながら錦糸町へと向かう。
途中で残党狩りに会うも恭太郎に守られながら錦糸堀に辿り着いた仁は現代へとタイムスリップする。
病院に運ばれ、腫瘍を摘出された仁は咲のために薬を盗むのだが、現代の仁がタイムスリップしてしまう。
一方、仁は自分が自分に手術されたという事実や未来も消えており、仁の戻ってきた世界はかつての世界とは少し違っていた。
――これは俺が歴史を変えた結果なのか。それとも俺が関わった日々はすべて修正されているんだろうか、この数日間のように
仁はこれまでのことを小説として野口に話し、野口にアイデアをもらうとする。
――ずっと避けていたけれど、もう限界だった。ちゃんと確かめよう。咲さんがどうなったのか、俺が生きてきたあの日々がどうなったのか
ペニシリンは1928年にフレミングによって発見されたが、日本では土着的に生産されており、仁友堂のことが本にきちんと記載されていた。
――だけど、いくら調べてもそこにないものは二つあった。俺と名前と橘咲という名前だった
江戸時代に橘家のあった場所には橘醫院があり、そこで仁は未来そっくりの女性・橘未来と出会うのだった。
「あの、こちらのご先祖に橘咲さんという方がいらっしゃったと思うんですけど…」
「いましたけど」
「少しお話を聞かせてもらえませんか?時間は取らせませんからお願いします」
そこで咲が明治維新の後に実家を改造して橘醫院を開き、小児科や産科が主だという話や写真を見せてもらうのだった。
そして、咲が野風が亡くなった後、娘の安寿を養女として引き取っていたことも分かる。
「咲はずっと一人だったようですよ」
「そう、ですか…」
――言葉が見つからなかった。咲さんと野風さんが起こしてくれたこの奇跡に。俺は…何の言葉も見つけられなかった」
仁は未来から咲が残した手紙を渡され、手紙を読むのだった。
――この思いを忘れまいと思った。けれど、俺の記憶もまた全て時の狭間に消えていくのかもしれない。歴史の修正力によって。それでも俺はもう忘れることはないだろう、この日の美しさを。当たり前のこの世界は誰もが戦い、もがき苦しみ、命を落とし、勝ち取ってきた無数の奇跡で編み上げられていることを俺は忘れないだろう。そして、更なる光を与えよう。今度は俺が未来のためにこの手で




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