夏目友人帳 肆 第11話「一枚の写真」

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第11話　一枚の写真

心優しい人達に囲まれ日々を過ごしている今、もう心は痛まないと、貴志は昆虫図鑑に挟んでいた両親の写った一枚の写真を手に取る。
｢そんなものがあったのか｣
｢まぁ、そろそろ見ても大丈夫かと｣
田沼と北本とラムネ水の湧く場所を探しに行こうと盛り上がる貴志の元に、かつてお世話になった親戚から幼い頃に父親と暮らした家に買い手がついたと連絡が入る。
その後、塾で遅れた西村もやってきて、隠れていた北村とニャンコ先生が驚かすのだった。
｢しかし、いいのか？その実家とやらのことは｣
｢いいんだよ、先生。俺にとっては今一番大事な場所はここだし、持っていれば管理費とかがかかる。大体、その家で過ごしたことなんてほとんど忘れてしまってるし｣
｢何だ、少しは覚えてるのか｣
子どもの頃は思い出したら辛くなるので必死に忘れようとしていたものの、今は一番大事な場所がここだからと家が売られても痛まないと自分に言い聞かせているのだった。

ラムネ水の湧く場所を探しに行く途中、妖怪に襲われた貴志は両親の写真を失くしてしまい、森の中では探しようがないと諦めることにする。
｢夏目は大変だな。また妖怪絡みで何かあるのか？先生｣
｢いや、写真を落としたらしい。両親が写っている｣
｢え!?｣
本当は大事な写真なのにもかかわらず、貴志は嘘を吐いて黙っており、様子がおかしい貴志に気付いた田沼は西村と北村と共に探してくれる。
｢しっかりしろ、夏目。吐かなくてもいい嘘は吐くな｣
写真も無事に見つかり、貴志は滋と塔子になくなる前に両親の家を見に行っていいかと尋ねるのだった。
｢えぇ、勿論。行ってらっしゃい、貴志くん｣

次回、「記憶の扉」

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