JIN―仁― 第10話

JIN―仁―の第10話を見ました。



｢私の兄はあなたに斬られたんです。あなたが日下さんと会った帰りに。あなたは私の敵なんですよ、初めからこのつもりで近づいたんです。ずっと、こうしようと…｣
ついに歴史通りに東に額を斬られてしまった龍馬を助けるために寺田屋の女将・お登勢らに見守られる中、仁は咲と佐分利の手を借りて大手術に臨み、手術は成功する。
｢坂本はんはこれで助からはりますんやろか？｣
｢手術自体が上手くいきましたが、これから脳浮腫、脳腫脹との戦いが待ってます｣
｢のうふ…？｣
｢脳が怪我をし、腫れてしまっているのです｣
｢脳の中の髄駅を排除することで脳圧を下げ、アンブバックで自発呼吸が戻るまで人工呼吸を続け、その間ペニシリンを投与し、栄養は栄養液で与えます｣
｢何やよう分からしまへんけど、生きてはりますのやろな？｣
｢はい｣

一方、江戸では仁友堂が偽の薬の製法を教えた容疑が持ち上がり、山田が厳しい取り調べを受けており、事情を聞いた勝は謀略を疑う。
そして、鈴屋から勝に野風の身請けのお調べの際、仁によって面目を潰された三隅のことが伝えられる。

手術からなかなか目覚めない龍馬に咲は野風からの手紙を読んで聞かせる。
｢龍馬さん、野風さんから待ちに待った逢引のお誘いですよ、行かないでどうするんですか？｣
龍馬が自発呼吸を始め、仁は龍馬が食いついてきそうな未来の話を語り続ける。
龍馬の意識が戻り、仁に眠ってる間、現代の日本の夢を見たと話し出すのだが、仁は少しだけしか龍馬を延命させることはできずに死なせてしまう。
更に東もまた自殺してしまうのだった。
｢龍馬さん、東さんに自分を守るために斬ったんだろって言ったんです。龍馬さんに重傷を負わせれば、恭太郎さん達は去る…その後、私が治すことを願ってたのかなって思って…｣
｢斯様なお考えならあそこまでの傷を負わすことはなかったのではないでしょうか。東様がお守りしようとしたのは坂本様の生き方のようなものだったのではないかと｣
そして、恭太郎のことを咲は仁に泣きながら謝るのだった。
――その顔を見てふと思った。咲さんは俺がここにいなければこんな顔をすることはなかったんじゃないだろうか。俺はここにいる人達を救えないばかりか運命の歯車を狂わせているだけなんじゃないだろうか

江戸に戻ってきた仁は偽のペニシリンによって仁友堂に危機が迫っていたが、勝達が三隅に策を仕掛けたことで三隅がお縄になることを聞かされるのだった。
自分のせいで皆が苦しんでいくと思った仁は仁友堂を終わりにしたいと告げるのだが、病人を置いていけないと山田達は残ることを選ぶ。
｢先生、私の夢はこの世で一番の医者になることでございました。先生が疫病神でも鬼でも何や変な夢ばっか見とっても出会えたことを後悔したことなど一瞬たりともございません!!｣
｢先生、私共に持てる全てを教えてくださいませ。国のため、道のために｣
｢はい｣

――俺は仁友堂を続けながら、松本先生と多紀先生に頼んで医学所や医学館での講義も改めて持たせてもらった。だけど、頭痛は前にもまして頻繁になっていった。一方で龍馬さんの死後、徳川を武力で倒そうという流れは止められず、旧幕府軍と新政府軍の戦いが起こり、この年の3月、新政府軍・西郷さんの率いる官軍が品川にまで迫ってくるまでになっていたようだった。…龍馬さんがいなくなった今、あの患者はおそらく確実に俺なんだろう。あんな腫瘍を放置すれば確実に死に至る。だとしたら、生あるうちに持てる全てを伝えよう。それは、明日に繋がるはずだから。命を救う技術は刻みつけられていくはずだ、この人達の手に目に心に。生き残る術を、命の螺旋が刻むように。…俺は壊れていっているのだろうか？時代と俺と、先に行くのはどちらだ!?

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