八犬伝―東方八犬異聞― 第5話「加護」

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第5話　加護

パジャマ姿で屋敷を歩き回っていた信乃は莉芳に容易に立ち入ることはできない場所だと引き留められるのだった。
司祭の仕事があると莉芳が教会へと出かけていってしまい、朔の日のために荘介も眠ってしまっており暇な信乃は厨房を勝手に漁ろうとして観月あやねとぶつかってしまう。
ぶつかった際にあやねが落とした花は茎がほとんど折れてしまっていたが、浜路がアレンジする。
｢自分の家に知らない人間が急に現れたら驚くわよ、普通｣
浜路に同い年の女の子の友達が欲しいとお茶に誘うように命令された信乃は会いにいくが、嫉妬深い蛇・ちかげと出会ってしまう。
ちかげに襲われそうになるが、駆けつけた荘介が信乃を土下座させる。
｢お前も身の内に面白いものを飼っておるの。いや、封じているのか。ここでいっそ全てを終わりにして人の輪へと戻ったらどうだ？｣
｢いえ、これは俺と命を分かつものを自ら進んで選んだ半身。俺はこの先も俺と共にあるもののために生きたいのです｣
｢生意気な小童どもじゃな。しかし、禁を破ったのは事実。腕の一本でも置いて行け｣
荘介が躊躇いなく腕を切り落とそうとすると、あやねが現れたことでその場が治まるのだった。

ちかげに大嫌いと言ってその場を去ったあやねは信乃と荘介のもとにやってくると、花のお礼をする。
そして、浜路と仲良くなったあやねは灯篭祭りに出かけたいと思うようになる。

一方、ちかげに呼び出された信乃はあやねの枷にはなりたくないと相談される。
でかくなりすぎた大蛇は土地神となり、動けば大地が揺らいでしまうため身動きの取れないちかげに信乃は要の狐を借りることを提案する。
｢ちかげ様、あのね…私、ちかげ様がいなかったら生きていられないくらい弱い子どもだって知ってるの。生かしてもらってるって分かってるの。観月の人間はもう私一人しか残っていないけれどちかげ様がいたから私は平気だった。ちかげ様は枷なんかじゃないわ、私は生きたかったから｣
あやねも灯篭祭りに出かけることができ、要との橋渡しをしてくれた信乃に礼を言うちかげは自分の本当の名前が響だと教えてくれるのだった。

次回、「外持」

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